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けど、僕の場合はモチベーションアップどころかむしろダウンしている。
何で僕なんかに投票してんだよ、お前らの目は節穴かってな。
僕の人気が上がれば上がるほど、それだけ琴乃さんに縛られる。
逆に僕の人気が壊滅的であれば、琴乃さんは愛想をつかし、晴れて僕は普通の生活に戻れるということだ。
まあ人気がどうとか、とやかく言っても仕方がないとしてしてだな。
こうして琴乃さんに渚ちゃんと言われるのは気分が悪い。
僕はあからさまに不愉快そうな顔をして琴乃さんに言う。
「すいません……その渚ちゃんってのやめてくれませんかね?」
そんな僕のささやかなお願いも、琴乃さんは聞き入れようとはしない。
琴乃さんは代わりにふん、と鼻で笑ってみせた。
「いいじゃな~い? どうせあんたは女みたいなもんだし」
なんて失礼なやつだ、このババアは。
「僕はれっきとした男です! お・と・こ! だからちゃん付けはやめて下さい。ていうかやめろ、今すぐに」
「口の利き方がなってないわねぇ……? いいのよぉ? 今すぐみんなにばらしても?」
「僕が悪かったです。申し訳ございません、美人なお姉さま」
メイド喫茶で培ったノウハウを生かし、精一杯のお世辞をかます。
「よろしい」
全然だめじゃん僕。
いや、まだだ。諦めるには早い。いつか反旗を翻して、この店もろとも潰してやるさ、絶対に。
「それじゃ、さっさと着替えて準備しなさい。もうそろ開店するわよ」
なにがもうそろだよ。
ババアが若者言葉なんか使うと、余計にババ臭く見えるっての。
「今なんか失礼なこと考えてない?」
こいつ!? ただものじゃねぇ……。
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