第1章

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「凛子のやつまだ引きこもってんのか……」 はい、僕の妹は引きこもりです。 だから言ったろ? 異常事態はすぐそこにあるってさ。 「大盛りでいいかしら?」 席についてボーっとしていると、お袋が不意に話しかけてきた。 さあさあ、待ちに待ったオムライスのご登場だ。 妹の心配は後回しにして、とりあえず今は、この黄金かつ紅蓮に輝くオムライスを食そうじゃないか。 「ああ、平気」 「はいよ、召し上がれ」 僕はじゅるり、と舌なめずりをする。 ああ、これさえあれば辛い仕事も乗り越えられる。 もはやオムライスのためだけに生まれてきたと言っても過言ではないね。 「凛子のやつまだ引きこもってんのか……」 はい、僕の妹は引きこもりです。 だから言ったろ? 異常事態はすぐそこにあるってさ。 「大盛りでいいかしら?」 席についてボーっとしていると、お袋が不意に話しかけてきた。 さあさあ、待ちに待ったオムライスのご登場だ。 妹の心配は後回しにして、とりあえず今は、この黄金かつ紅蓮に輝くオムライスを食そうじゃないか。 「ああ、平気」 「はいよ、召し上がれ」 僕はじゅるり、と舌なめずりをする。 ああ、これさえあれば辛い仕事も乗り越えられる。 もはやオムライスのためだけに生まれてきたと言っても過言ではないね。 「いっただっきまっす!」 両手をあわせて大きな声で、いただきますと言った。 大好物を目の前にすれば、誰だってこうなるだろ。 パクリと一口食べてみる。 うーん……口の中に広がる卵のトロトロな食感。 そしてこのさっぱりとした甘み。しかし、そんな甘さを消し飛ばすかのようなケチャップのわずかな酸味。 畳み掛けるようにチキンの落ち着き払ったジューシーな味が押し寄せる。 これぞまさしく味のオーケストラ。食欲増進間違いなし! なんか、売れない芸人のグルメリポートみたいだな、これ。 そのままガツガツと食事をたいらげて行く。
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