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まただ…
流架のキスに香凛はすべての思考が停止する。
大夢…
しかし、唇に重ねられた冷たい唇と、香凛の下唇を舐める冷たい舌はキスの相手が婚約者ではないことを再認識させる。
「流架…」
胸元を広げながら唇を滑らせる流架のプラチナブロンドの頭を香凛は無意識に抱き寄せていた。
冷たい唇と舌は香凛の白い肌に軽く噛み跡を残す。
そこは冷たい唇が付けたにもかかわらずとても熱かった。
器用に口で、流架は香凛の胸をあらわにしていく。
「る、流架…恥ずかしい…」
スーツのボタンを半分だけ外され、下着をずらして胸をあらわにされた姿はあまり経験のない香凛にとってはたまらなく恥ずかしい。
「なぜ?こんなに綺麗なのに…」
冷たい唇がピンク色の蕾をとらえる。
軽く甘噛みするとまるで血を啜るように吸いながら舌がそのまわりを舐めた。
「いや…流架…やめ…」
全身をかけめぐる快感に香凛の息はすっかりあがっている。
香凛は無意識に血を啜られるあの、子宮をつかまれるような感覚を求めていた…
「流架…」
その碧眼に必死でうったえる。
血を吸って…
ふっ、とわらうと流架の瞳が紫水晶に変わった。
首筋にふたつの軽い痛みを感じる。
そして…さっき胸の蕾に与えられていた快感が首筋をおそった。
「あぁぁ…」
求めていた快感に香凛の口から喘ぎ声がもれる。
「流架…」
あまりの快感に意識がうすれていく。
最後に覚えているのは唇から香凛の血を滴らせた流架のエメラルドグリーンの瞳だった…
香凛が意識を取り戻したのはそれからかなり経ってからだった。
流架のベッドに寝せられすっかり身繕いもされている。
首筋を触ると、まだふたつの傷が残っていた。
ぼんやりと半身を起こす。
自分で望んで、血を吸われた…
香凛にとって流架が血を吸う時の陶酔感は媚薬だった。
全身に広がるあの、快感に香凛は抗うすべを知らない。
むしろ、無意識にそれを欲している…
自分はこんなに淫乱な女だったのか、と思う。
しかし、流架が与えてくれる感覚は大夢には一度も与えてもらわなかった快感だった。
香凛は自分がすでにその快感におぼれつつあるのを感じていた…
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