1.双子、出逢う

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「だから宿で調節しながら行けばいいって言ったでしょ」 「でもさぁーやっぱ早く着きたいじゃん?」 ニパッと笑うシンに何も言えず、 マコトは苦笑しながら頬をかく。 二人はグダグダと話しながら野宿の準備を始めた。 薪をようやく集めて、寝床にする場所に戻ってきた二人は目配せをした。 「マコトは火を熾(オコ)してね」 「はいはい」 二人が焚き火を作ろうとした時 「こりゃ、可愛らしいカモ達だ」 「おい、小僧共有り金全部頂くぜ」 「俺、この刀のキレ味試したかったんすよねー」 「本当に男か?」 「お頭ぁ、もう殺りたーい」 下卑た笑いを浮かべながら5人の山賊が茂みから姿を表せた。 「うーわー、山賊だー、こわーい」 「…シン棒読みすぎ」 二人は呑気な会話をしながら、 ゆっくりと腰に差した刀を抜こうとする。 「残念ながら」 「お断りっ!!」 抜きかけた刀を鞘に戻した二人は、 一目散に逃げ出した。 後ろの気配を確認しながら京に向かって走る。 虚を付かれた山賊は、遅れながらも二人を追いかけた。 しかし、逃げ足の速い二人との距離が開くばかりで とうとう追いかけるのを諦めた。
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