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「だから宿で調節しながら行けばいいって言ったでしょ」
「でもさぁーやっぱ早く着きたいじゃん?」
ニパッと笑うシンに何も言えず、
マコトは苦笑しながら頬をかく。
二人はグダグダと話しながら野宿の準備を始めた。
薪をようやく集めて、寝床にする場所に戻ってきた二人は目配せをした。
「マコトは火を熾(オコ)してね」
「はいはい」
二人が焚き火を作ろうとした時
「こりゃ、可愛らしいカモ達だ」
「おい、小僧共有り金全部頂くぜ」
「俺、この刀のキレ味試したかったんすよねー」
「本当に男か?」
「お頭ぁ、もう殺りたーい」
下卑た笑いを浮かべながら5人の山賊が茂みから姿を表せた。
「うーわー、山賊だー、こわーい」
「…シン棒読みすぎ」
二人は呑気な会話をしながら、
ゆっくりと腰に差した刀を抜こうとする。
「残念ながら」
「お断りっ!!」
抜きかけた刀を鞘に戻した二人は、
一目散に逃げ出した。
後ろの気配を確認しながら京に向かって走る。
虚を付かれた山賊は、遅れながらも二人を追いかけた。
しかし、逃げ足の速い二人との距離が開くばかりで
とうとう追いかけるのを諦めた。
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