第六話  心の行方

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アキは悲しそうな目で晃司を見た。 『晃司さん…、この間の事は忘れて下さい』 そう言って、車に乗った。 消えて行く車を見ながら、晃司は呟いていた。 「アキ…、どうしてなんだ…。 確かにあの時、アキは俺を求めたのに…」 晃司はあの時のアキを思い出していた…。 苦しみと悲しみにひしがれていたアキの目…。 そして、寂しそうなアキの目を晃司は忘れることなんて出来ない…。 あの目が訴えていた…。”私を助けて…”と 自分と同じ目をしていたアキ…。 必死に何かを信じようとしている目…。 でも、心は揺れ動き、必死に隠そうとしている。 まるで、自分自身を見ている様だった…。 だから、晃司は思ったのだ。 自分なら、アキを救えるかも知れない…。 そして、自分も救われるのだと…。
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