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この手紙には、あの傲慢で、冷酷な社長の姿はない…。
社長の弱さを初めて感じた気がした…。
桜田は思わず手紙を握り締めた。
悲しみと悔しさが、一気にこみ上げて来た。
「優一さん、その手紙を読んではいませんが、内容の検討はつきます。
父は、あなたに会社を頼むと書いていたのではありませんか。
父は生前、口癖の様に言っていました。
ヒカリ商事を任せられるのは、優一だけだ。
優一なら、自分の思いをきっと分かってくれると…。
父の優一さんに対する信頼は、とても強かったはずですから」
マリエの言葉に、桜田は社長を裏切ってしまったという罪悪感でいっぱいだった。
社長の信頼を裏切り、社長から逃げてしまった自分を、桜田は責めていた。
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