第1章

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キャリア組の中にも威張り散らさない人間がいるんだな…その場にいた坂西署の署員は皆そう思った。 また少しだけ室内がざわつき始める。 水海署から遅れて入室してくる者もおり、人の出入りは激しい。 そんな中、ひときわ大きな体格で頭に毛が一本もないタヌキのような男と、対照的にガリガリに近い体格に目が吊り上がりキツネのような顔をしている男が会議室へと入ってきた。 坂西警察署の署長と副署長である。 「えー、お集まりいただき恐縮です。まだ水海署から到着していない者もおるようですが、先に始めさせていただきたいと思います」 キツネ顔の副署長がそう言うと、ゴホンと咳払いをして署長が話し始める。 坂西署の管轄内でこのような事件が発生したのは初めてだという話に始まり、もはや今その話はどうでもいいといった感じの事件についてまで。 今回の事件の概要がなかなか話されない事に苛立つ署員はつまらなそうに署長の話を聞いていた。 そういえば運動会の時の校長も同じように話が長かったなと、遠い昔の記憶が蘇るようだった。
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