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坂西警察署から車で10分程度の距離に後藤の家はあった。
街中から少しだけ離れた場所にある警察署から10分車を走らせただけで、周りには田畑しかなくなる。
後藤の家の隣に一軒家が一つあるだけで、他は田んぼや畑しかない。
夏になればカエルが大合唱をするような、本当にのどかな街のはずだった。
田舎だからこそ都会に比べれば土地も安く、ローンだったが後藤もマイホームを建てる事ができたのだ。
広いとは言えない庭に車を停車させると、車の音を聞きつけた女性が玄関のドアを開け後藤に笑みを向けた。
「おかえりなさい」
お腹に独特の丸みを帯びた女性は、腹部をさすりながら嬉しそうに後藤に近付く。
背が低く、黒髪のショートカットがよく似合う優しそうな女性だ。
普段は鋭い目つきをしている後藤だが家に帰れば夫であり、近々生まれてくる赤ん坊の父親でもある。
優しい顔で後藤は妻、美弥子の肩を抱き寄せ家の中へと入った。
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