第1章

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都会では考えられないが、田舎ではよくある近所付き合いが盛んで強盗や殺人など無縁な街。 そんな街の外れにある川縁で変死体が発見されたのは、季節が夏から秋に変わり日が暮れるのが早くなったと感じ始めた頃だった。 「利根川沿いの…えぇ、はい、すぐに向かいますので、そのままお待ちいただけますか?はい、では」 受話器を置いた婦警が溜め息まじりに呟く。 「利根川の橋の下に人が死んでるみたいだって…」 「なっ…死体?死体だと!?」 驚いた様子で目を剥き出しにしたのは、ここ坂西(バンザイ)警察署の生活安全課をまとめる青柳課長だ。 ただでさえギョロ目である彼が目を剥き出しにした事で、その形相はホラー映画も真っ青である。 「あっ、青柳課長」 「キミ!すぐに刑事課に連絡して!」 まだ新人の部類である先程の婦警は、あぁそうかといった顔で慌てて刑事課へと内線を繋いだ。
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