第1章

21/76
前へ
/76ページ
次へ
液晶画面には【小林武夫】と表示されている。 一緒に署を出たはずだ、事件とは無関係の電話だろうか…。 「もしもし?どうしたんだ?電話なんて…」 『まっさん、1が見つかった。いや、見つけちまったんだ!』 後藤の会話を遮り、堰を切ったように小林が話し出す。 普段の落ち着きが嘘のような、小林らしからぬ取り乱し方である。 「おい、たけさん今どこにいるんだ?1って」 『国道沿いにマリンってパチンコ屋があったの覚えてるかい?そこの駐車…』 そこで電話が切れた。 受話器の向こう側から、微かに鈍い音が聞こえたような気もする。 もしかしたら犯人がまだ近くにいたのかもしれない、そう思ったら後藤の体は勝手に動いていた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加