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「ん…?誰か乗ってる…のか…?」
誰に問うでもなく後藤はそう呟いた。
いくらヘッドライトをあてていると言っても暗くてよく見えないが、確かに運転席に人が乗っている。
そしてその車の奥に、地べたに這いつくばるように倒れている人物がいるのを確認した後藤は急いで車を降りた。
「おい!大丈夫か!?たけさん!」
倒れていたのは小林で、殴られたのか頭部からおびただしいほどの出血がある。
「こりゃ救急も呼んでおくべきだった」
後藤は舌打ちをして119へ電話をいれた。
頭を殴られたなら下手に動かすのはまずいだろう。
待っている時ほど時間の流れが遅く感じる。
とりあえず脈はあるから死んではいない、頭部を損傷するというのがどれほど危険かはわかっているが、今は小林が死なない事を祈る事しかできない。
「たけさん…死ぬなよ…!」
けたたましいサイレンを鳴らしたパトカーと救急車は、ほぼ同時のタイミングで到着した。
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