第1章

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「ま、その辺は今後どうするか上が決めんだろ」 「ぼ、僕としては合同捜査になればと思ってますが!」 どうやら宮部も後藤に憧れるうちの一人のようだ。 後藤はシートをめくり遺体に手を合わせた。 年の頃は25から35といったところか、中肉中背で会社勤めらしい男はスーツ姿でうつ伏せの状態だった。 気になるほどの着衣の乱れはなく、見える範囲で目立った外傷もなかった。 「身元を示すような物は何も持っていませんでした。財布や免許証、携帯電話…全てありません」 説明を聞きながら遺体から離れると、先程宮部に事情を聴かれていた男性が不安そうな顔で二人を見つめていた。 「えっと、第一発見者がこの方で…」 前方にいる初老のおじいさんに目を向けると、面倒な事になったなといった表情でおじいさんが軽く会釈する。 両サイドしか残ってない髪は白髪で、中年太りのためか丸く膨らんだ腹が印象的である。 脇には犬がおり、尻尾を振って後藤を見上げていた。
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