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「有難うございました。また何かありましたら連絡させていただきますので、ご協力お願いします」
後藤は礼儀正しく深々と一礼して斉藤を見送る。
斉藤の愛犬は名残惜しそうに何度か振り返り、斉藤と共に闇の中へと消えていった。
「あとは司法解剖しない事には手詰まりだな」
後藤がそう言って視線を戻すと、うっとりとした表情の宮部が目の前にいた。
「さすがですね!かっこいいです!」
新米刑事だからか、はたまた今回のような事件が初めてだからか宮部の鼻息は荒い。
「刑事ドラマを見てるみたいです!感動です!」
目を輝かせて言っているあたり、悪気はないのだろう。
だが、人が一人死んでいるのだ。
「ばかたれ、これは現実だ。それに感動してる場合じゃない。お前さんは初めてかもしれんが、これが事件性のあるヤマだったら…こっからが地獄だ」
宮部がその言葉の意味を理解したのは、死体の背中に【2】という数字が刻まれていると報告が入った後だった。
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