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◇◇◇
大学をやめると決心してからは、ほとんど大学へは行かなくなった。
だから蕾斗さんとはあまり会うこともなくて。
たまにアパートへ顔を出しに来るけれど、あたしの本気を伝えたくて、部屋へはあげていない。
凄く寂しいんだけれどお腹の赤ちゃんのため。
掌をそっとお腹にあてると、それだけで癒される。
幸せな気分になれる。
母性ってほんとにあるんだな。
こんなに愛しくなるなんて、想像もできなかった。
◇
左手でお腹を擦りながら、右手でスマホを持って、その画面と睨めっこしていた。
そこには篤史くんの名前。
とりあえず事実だけを知らせようと思ったけれど、通話という文字を押せない。
今更、こんなことを言っても迷惑なんじゃ……とか考えてしまう。
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