俺がいるから

3/9
458人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
でも、一緒に育ててほしいって言うわけじゃないし。 遅かれ早かれ言うんなら……。 意を決して、ぽんっ、と画面をタッチする。 ゆっくりとスマホを耳にあてた。 プルルル……プルルル…… 呼び出し音と平行して、あたしの胸はどきどきと音を立てている。 “……理彩?” 「うん」 真っ先にあたしの名前を呼んでくれた篤史くん。 あたしの番号を消してなかったんだ。 “どうした?” 相変わらずやさしい声に、心臓がきゅっと反応する。 「話があるんだけど、会えないかな?」 “話? ……いいよ。どこに行けばいい?” 「あのね、……人に聞かれたくない話なんだ。だから、篤史くんのアパートへ行ってもいい?」 “……” 黙りこくった篤史くんに、もしかしたら……という考えが頭の中を過る。 「彼女とか、いたりするの? だったら……」 “いねぇよ。うちでいいよ”
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!