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◇◇◇
翌日、篤史くんのアパートへ行った。
「ごめんね」
「いや、なんか理彩、痩せた?」
「……少しね」
最近つわりというものが始まって、あまり食べれなくなった。
食べても吐いちゃうし。
だから、少し痩せてしまったんだ。
「話って?」
「うん。……正直、篤史くんに話すのを凄く迷った。今でも話さないほうがいいのかも……って思ったりもする。でも、きっと今よりもあとで知った方が後悔する気がして」
「何の話?」
篤史くんが眉を寄せる。
その表情をじっと見ながら、
「あのね、……あたしのお腹の中に、篤史くんとの赤ちゃんがいるの」
「えっ」
当たり前だけれど、篤史くんは目を見開いて驚いている。
自分のお腹にいる命だけれど、あたしですらいまだに信じられないもん。
「……産むつもりだから、……一人で」
「一人でって……」
そう言った篤史くんは、動揺しているようにも見える。
「ごめんね、勝手に」
「何で謝んの? 俺の責任だろ?」
「責任とか、言わないで。この子の命をそんな一言で片付けたくない」
両手でお腹を包みながら言う。
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