第7章

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ハワイから帰国した日、俺はお土産を口実に早速小早川さんへメールを打った。 だが、送ったメールは宛先エラーで戻ってきてしまった。アドレスを変えたのかと思い携帯に電話をしてみたが、携帯も繋がらなかった。 彼女に気持ちを伝えるべく向かった先でケンちゃんと殴り合いをした日から、約二週間の間に彼女は携帯を変えたのだ。 帰国した日から翌々日の今日、有休を使った五日間の休みも終わり仕事再開だ。 俺は、小早川さんへのお土産を鞄に潜ませて会社に向かった。 携帯が繋がらなかったことは勿論落胆したし、一時は意気消沈して彼女を諦める考えも頭を過った。 だが、この恋を諦めたくない気持ちが、彼女への想いが、降参することよりも勝った。 兄貴や花園さんのように幸せを掴めるかはわからない。だが、汚い恋のまま、気持ちを伝えないまま、終わりにしたくない。 俺にやれることだけはやっておきたいんだ。結果、駄目だったとしても、過去のように後悔はしたくないから。
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