第7章

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年末の忙しいこの時期に、社内で小早川さんと会話をする機会はなかった。更に俺は五日間の休み明けということもあって溜まった仕事も山ほどあり、会社を出た時には22時を過ぎてしまっていた。 小早川さんの姿は、とっくに社内にはなかった。 会社を出ると、すっかり暗くなった夜空の下に、花火のように色とりどりの電飾で覆われた街路樹が煌びやかに輝いていて、今日がクリスマスイブなのだと再確認させてくれた。 イブかぁ。もう何年、一人ぼっちのクリスマスを迎えてきたか。 はぁ、と吐きだした白い息でイルミネーションがぼやけた。
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