第7章

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「雨は夜更け過ぎにー、雪へと変わるだろー」 さっき街で流れていたBGMを口ずさみながら、阿佐ヶ谷駅の改札を抜けた。 腕時計を確認すると、23時になろうとしていた。あと一時間でイブが終わる。 彼女の家まで歩いて10分も掛からない。こんな時間にいきなり行ったら迷惑なのは重々わかっている。 それに、彼女がイブの夜に家にいるとも限らない。もしかしたら、またケンちゃんと一緒かもしれない。 もし、ケンちゃんと一緒だったら……。 最悪なパターンが何度も何度も頭を過るが、そのたびに大袈裟に頭を振って考えないようにした。 兄貴にも、俺は考えすぎだと言われた。考えて収集がつかなると、自分が本当にしたいこともわからなくなる。 今、俺がしたいことは、小早川さんに気持ちを伝えることだ。それ以外の雑念は捨てるべきだ。
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