第7章

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鞄の中に潜ませた彼女へのお土産に目を落とし、再度、自身に気合を入れ直して力強くアスファルトを踏みしめて彼女の家へと向かった。 彼女のマンションの前に着くと、彼女の部屋の灯りがついていた。 ――いる。 急に鼓動が暴れ出し、鼓膜には血流の音まで聞こえてくる。 彼女の部屋を見上げたまま目を瞑り、鼻で大きく深呼吸をして自分を落ち着かせると、彼女のマンションへと入った。 オートロックのインターホンを押す手が、寒さと緊張で小刻みに震えている。 俺の鼓動の早さとはそぐわない、ゆったりとしたチャイム音が鳴ってから数十秒後、彼女の声が聞こえてきた。
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