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「……はい」
こんな時間であるためか、聞こえてきた声は迷惑そうな不審がるような雰囲気が漂っているように思える。
「高坂です」
そんな雰囲気に負けないように、無機質なインターホンに向かって声を張った。
「……なんですか?」
突き放すような冷たい言い方に、インターホンから後退しそうになったが、
「ちょっと話出来ないかな?渡したいものもあって……」
と、必死に食い下がった。
数秒後、ガチャリと開錠した音がロビーに響くと同時に「どうぞ」と、感情の読み取れない単調な声が聞こえてきた。
「ありがとう」
彼女に聞こえているかどうかも定かではないが、インターホンに向かってそう言うと、マンション内へと足を踏み入れた。
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