第1章

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基本的に世の中は不条理に出来ている。 かつては現実不可能な夢を見たこともあった。 かつては現実的な未来を考えたこともあった。 しかし所詮それらは先のことであって、それがそのまま現実になるなんてことはあり得ないし、そして大体それよりも悪い現実になるものだ。 彼もまた、そのように夢を、未来を見て、そして現実を目の当たりにして失望している一人である。 楽しみが無いわけではない。実際のところ、彼はその時々でその人生を楽しんでいる。 しかし彼は気づいてしまった。日を経る度により楽しさは失われ、そしてその先には暗い未来しか待っていないということに。 そして彼はついにその選択を取ることを本気で考えた。 すなわち、この世の中に失望し、自らその人生を断つ、という選択だ。 もし仮に自分がいなくなれば。少なくとも自分は救われるのではないか。 その後どんなことがあったとしても、自分のいない未来なんて特に興味はないし、関係ないだろうと。 しかし同時に彼は考えた。 この不条理な世の中で、間違いなく負け組な自分が、もし仮に大逆転を起こせたなら。
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