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「1ヵ月後の昼か………」
「翡翠…………
お前まさか行く気か?」
「当たり前だ
彗蓮は苑州の中心といってもいいほどの場所だ
そんな場所を血狐の奴等に渡すわけにはいかない」
彗蓮────
苑州で一番活気のある街であり、緋劉国の倉庫と呼ばれるほど、各地から色々な物が集まる所でもある
「だからって、おい、待て!
何処に行くんだ翡翠!
話はまだ終わってない!!」
「話しても無駄だ
俺の答えは決まっている」
「翡翠!っ、鈴明!!」
「!」
恭牙に鈴明と呼ばれ、歩みを止める翡翠
「恭牙、二度とその名で俺を呼ぶな
次に呼べばいくらお前でも許さない」
「あ、おい!翡翠!」
バンっ!!!
『約束だ、鈴明』
「っ」
(思い出しては、ダメ
私は、俺は、翡翠として生きることを決めたのだから………
思い出してはダメ……………)
「…………………李翔様………」
(……………会いたい)
「っふ………ぅ………」
(会いたい、会いたい、会いたい、会いたいよ)
「っうわぁぁぁぁ」
(会わないと、忘れると決めたのに
貴方を思い出す度、私は【翡翠】ではなく【鈴明】に戻ってしまう
誰でもいい、どうか教えて………あの方を忘れる方法を────)
少女の願いは叶わずに
今日もまた、過去に囚われ
一人、疲れ果てるまで泣き叫ぶ
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