‡第一話‡

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†side 李翔† 「………か………陛下」 「!」 「陛下」 「暢(ちょう)内官か…… どうした?」 「皇太后様がお呼びにございます」 「用件は言付かっているか?」 「いえ、お呼びするように、としか窺っておりませんゆえ……」 「そうか………わかった 皇太后様は今どちらに?」 「庭園でお茶をお飲みになっています」 「案内せよ」 「はっ」 ━━━━庭園 「陛下、お呼び立てして申し訳ありません」 「いえ、お気になさらないで下さい して、ご用件はなんでしょうか?皇太后様」 「…………今日は陛下が即位して半月になりますね」 「ええ、そうですね」 「単刀直入に申します、陛下」 「はい、なんでしょう?」 「後宮に后をお迎えください」 「……………お断りします」 「陛下!」 「皇后様、前にも申し上げましたが、私には心に決めた女人がいます その女人以外、後宮に迎えるつもりはありません ご用件がそれだけなら、私は失礼させていただきます」 「お待ち下さい、陛下!陛下!!」 ━━━━━庭園から少し離れた所 「…………はぁ」 「陛下、よろしいのですか?」 「暢内官…………… すまない、少し一人にしてくれ」 「……………畏まりました ご用がありましたらお呼び下さいでは、失礼いたします」 「……………………鈴明」 (お前は今、何処にいる?) 「…………会いたい」 (会ってお前を抱き締めたい) 『迎えに来てくださるのを、 お待ちしております、李翔様』 (お前が何処にいようと、必ず見つけ出す だから────) 「待ってろ、鈴明」
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