‡第一話‡

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†side 李翔† 「陛下~、陛下~!」 「騒がしいぞ、暢内官 また、皇太后様の呼び出しか?」 「いえ、それが! 国中で皇后が決まったと、大騒ぎでして!」 「皇后? どこの国の皇后が決まったのだ?」 「ボケている場合ですか! 我が緋劉国の皇后に決まっているでしょう!」 「そなたこそ、何を言っておるのだ 私は皇后を決めた覚えはないが?」 「それについてですが……… 私の方に一つ心当たりが……」 「申してみよ」 「3日前位に、皇太后様が錆家(せいけ)のご息女を茶会にお招きしておりました」 「錆家というと………」 「緋劉国でも三本の指に入るほどの名門貴族でございます 皇太后様が招かれたのは、錆家の次女であられる鏡花(きょうか)様のようです」 「まさか、皇后の噂は………」 「皇太后様の差し金かと……… 陛下が皇后を迎えるのに、煮え切らないご返答だったため、まず外堀を埋めるおつもりだと考えられます」 「なんと、面倒な………」 (このまま、宮中に留まれば顔合わせをさせられるのも時間の問題………… かくなるうえは) 「暢内官」 「なんでしょう、陛下」 「来週あたりから1ヵ月間、民の暮らしぶりを調査するために、お忍びで出掛ける予定をたていたよな?」 「ええ、そうですが………… まさか、陛下………」 「流石だな、暢内官 察しがよくて助かる」 「なりません、陛下! まだ陛下に行ってもらわなくてはならない執務が残っております!」 「後のことは、湫(しゅう)宰相に任せる」 「陛下~!」 「これは命令だ! 直ちに湫宰相をここに連れてまいれ!」 「…………………畏まりました」 (よし、これで暫くは大丈夫だろう 1ヵ月で手立てを考えなくてわ)
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