0人が本棚に入れています
本棚に追加
あ゛ぁぁぁ・・・・・まじやってらんねっ
そう言って彼、空眞小路(そらま こうじ)、は吸っていたタバコを投げ捨て、少しでも自分の怒りを静めるために力を込めてタバコを踏み潰した。
彼が足を離した下には原型が全く残っていない残骸があった。
それらは凍て付くような寒々とした冬風に乗せられて漆黒の闇の先に姿を消した。
それを見ても彼の怒りが収められることはなかった。
チッもういい。帰っちまおう
そう思い、彼は公園の出口のほうに足を進めた。
「待って!」
小路が突然の制止の言葉に反射的に足を止めると、背後からタッタッタッと走る音と同時に焦った様な疲れの混じったハァハァという音と声が聞こえた。
振り返るとそこには予想通りの人物がいた。
「おせぇよ」
小路の彼女、三隅可奈(みすみ かな)がいた。
小路の怒りの混ざった責める様な言葉に可奈は怯むことなく息を整えた後まっすぐと小路の眼を見て言った
「ごめん。でもどうしてもバイト抜け出せなかったんだもん。許してよ。」
と悪びれた様子も無く、ヘラッと顔の前に手を合わせながら言うものだから小路は毒気を抜かされ、深いため息をついた。
「はぁ~・・・・・行くぞ」
「うん!」
さっきまでの険悪な雰囲気はどこへやら二人は手を取り合い、仲睦ましく公園を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!