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「ねぇねぇ。これ綺麗じゃない?」
「あ?」
可奈は小路の方に視線を向けず、硝子の先の赤く、小さなクッションに乗せられた美しく装飾された銀色に輝く指輪をキラキラとした目で見つめていた。
「あぁまぁ確かに・・・・」
俺はこういうちゃらちゃらした物が良いのか悪いとかとか聞かれても良くわからん。
まぁいいんじゃね~の?って感じだ。
いつもはな。
でもなんかこの指輪は本当に綺麗だと思った。
見る者を惹きつけるその繊細な作りをした指輪は妖艶という言葉が表現に相応しいだろう。
そんな俺らしくも無いことを考えながら見ていると、ふと可奈のほうに目を向けた。
可奈はキラキラとした目でしばらく眺めていたがすぐにその輝きは色褪せ、「行こう」と俺に行った。
いいのか?って聞きそうになったが思い留まった。
素人の俺ですらこんなに感心するほどの出来をした指輪だ、高くないわけが無い。
値段を確かめようともう一度見てみたがどこにも書いてない。
「早く~」待ち草臥れたのか、自分を呼ぶ恋人の元へ向かった。
その前に俺は一瞬だけ振り返りその店の名前と場所を目に焼き付けた。
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