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俺は良くわからない、見たことも無い町をさまよい歩いていた。
周りを何度か見回すがどこだかやっぱり見に覚えが無い。
「どこだここは?」
なんだか不気味な感じもする、こんな辛気臭いところからさっさと立ち去りたいと思ったら、急に体が浮いた。
俺は階段に登るようにゆっくりと空に向かって駆け上がり、ビルに足が届かないくらいまで駆け上がったら下の町を見ないように歩いた。
歩けども歩けどもあの不気味な町並みが続き、いい加減辟易としてきたところで数十メートル先の地面が、ビルに遮られてまだ良く見えないが、蒼白くぼんやりと光っていた。
その光には不思議と薄気味悪さや不気味さなどは感じなかった、ただ何かいやな予感というか・・・心がざわざわと不安げに震えていた。
それに気付かないフリをしてその光の方向に進むとそこには見たことはあるが名前を忘れてしまった、可愛らしい蒼い花畑が地面を覆っていた。
振り向いてもあたり一面花畑であり、さっきとは違う意味の不思議な、幻想的な世界に舞い降りたかのような錯覚に陥った。
何の前触れも無くなんとなく顔を前に向けると可奈の後姿が見えた。
俺は何でここに?と思いながらで可奈がいるほうに進み、何をしているんだ?と聞こうと思ったが可奈の前には見知らぬ男がいて、出そうと思った声がなぜか引っ込んだ。
男の顔は可奈によって遮られていて、良く見えない。
二人は俺の存在に気付かないのか、向かい合いながら楽しそうに話していた。
自分が好きな女が他の男と楽しそうに話していていい気になるわけが無い、少し怒りを滲ませた声色で「おい」と声をかけた。
でも、二人は変わらず楽しそうに話している。
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