退屈

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「失礼します、魔王さま。あと副官殿。本日も良いお天気で・・・?」 ノックのあと扉を開けて挨拶をしてきたのは、黒い短髪に高い身長である170cmのスラリとした女性であった。 格好は真っ黒いローブを着て、真っ黒いズボンを履いている。男性というよりかは女性にモテそうな中性的な顔立ち。その本来きれいな顔が、現在の俺と魔王のパン投げ合戦を見て眉間にしわを寄せてなんとも言えない表情をしていた。 「いったい・・何をしているのですか・・・?」 彼女・・・魔王の世話係である上位魔神のテラが青筋をヒクヒクさせながら聞いてきた。 その言葉に俺と魔王はお互いの顔を見て、言い訳を小声で相談し始めた。 「副官!あんたどうにかしなさいよ!」 「いきなり丸投げかよ!魔王が始めたことだろうが!」 「はぁ!?私のせいだっていうの!?」 「当たり前だろうが!このあほ!」 しかしお互い話し合いがヒートアップしてしまい、もはや小声とはいえない声量で醜い言い争いを開始してしまった。そしてそれが、テラの逆鱗に触れてしまったらしい。 「お二方!!あれだけいつもいつもいつもいつも、食料を無駄にしてはいけないと言っているじゃありませんか!」 猛烈な怒気を含んだ声に俺と、この魔王ですら萎縮する。 俺はその場ですぐ正座をして、土下座の流れに入る。ちらりと魔王を見ると、両の指をくるくるして視線をあちらこちらに向けていた。 軽くパニック状態になっていたのだ。 しかも、そういうときに限って余計なことをいつも言うのがこの魔王。 「む、無駄にしてないし・・・。玉にして遊んでただけだし・・・」 ビキッ! このあほーーー!! 俺の心の叫びと同時に、テラの何かがキレた音が聞こえた。 「・・・なるほど。どうやら魔王さまは怒られた理由をよくわかってないようですね、フフフ」 テラは笑っていた。 笑ってはいたが、こちらは全く笑えなかった。
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