“GUN FIGHT”

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“GUN FIGHT”

 海外に行くと、特に男なら、一度は“shooting range”…つまり「射撃場」に行ってみたいと思うものじゃないだろうか。 「バキューン! バキューン!」  弾けるような銃声。 「ズガガガガガ」  迫力のあるマシンガンの音。  TVをつけると、ちょうど「スティーブン・セガール」のアクション映画をやっているところだった。もちろん「吹替え」なし。僕はBGM代わりにTVをつけっ放しにして、バス・タブにお湯を入れ始めた。 「ふ~」  やっと一息だ。  ここはロサンジェルス郊外。「Torrans」市。LAX(ロサンジェルス空港)から、フリーウェイが流れていれば車で数十分。 (アメリカと言うと、大都市の市街地以外、渋滞とは無縁と思われがちだ。だが、世界一の過密空港「LAX」の周辺は、朝晩のラッシュ時には、片側数車線のフリーウェイが、上下線ともピタッと止まってしまう大渋滞となる。飛行機の方も、夕方の大渋滞で夜空を見上げていると、いったいどういった経路で空港に入ってくるのかわかるくらい、ポツン・ポツンと飛行機の灯りが続いている。離陸の時だって、待機路には列を作ってジェット機が並び、機内のスクリーンに映し出された画面を見ていると、前の飛行機が浮かぶやいなや、ただちに加速を始めるのだ)。  僕たちは、一日の仕事が終わり、食事を済ませ、宿に戻ったところだ。ここには日本の大企業が数社あり、日本人が多く住む街。日系のスーパーなどもあり、日本食の店も多数ある。  服を脱ぎ、下着だけになったところで、ベッドの端に腰を降ろす。海外出張の場合、「ひとり一部屋」が常識だ。  浅いバス・タブだけど、縦横はある。体積にすれば、かなりの量だ。お湯の深さは、まだ十分ではないだろう。その間、ボ~ッとテレビでも眺めていよう。 「バキューン! バキューン!」 「ズガガガガガ」  画面では、ハデな撃ちあいが繰り広げられているけど…。 (たしか映画は“Hard to kill”)。 『?』  おもての方が、やけに騒々しい。このあたりは繁華街からははずれており、ホテルの目の前には片側二車線の道が走っているけれど、閑散とした所だ。夜ともなれば、明かりもまばら…。
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