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「パン・パン・パン」
開け放った窓からは、花火のような音が飛び込んで来る。LA付近は、だいたい九州と同じ緯度。三月ともなれば、かなり暖かい。
「パン・パン・パン」
その音に、僕はピーンときた。腰をかがめ、窓の所まで行き、身を隠すように、スーッとカーテンのスソを持ち上げ、外の様子をうかがう。
『…?』
道路の向こう側の住宅地。何かゴソゴソとやっている数人の人影。
「向こう側は、あまり治安が良くない」
そんな話は聞いていた。道路一本隔てた向こうとこっちは「天国と地獄」。アメリカには、そんな場所がある。
(ゴミなどがちらかっている側は、用心したほうがよいそうだ)。
「パン・パン・パン」
『!』
もうテレビなんて、見ている場合じゃない。
『撃ちあいやってるよ!』
だって目の前で、「実演」をやっているのだ。暗いし、頭なんか出していたら危ないので、はっきりとは見えなかったけど…。
やがて、けたたましいサイレンの音が聞こえてきた。パトカーに消防車。なぜかアメリカでは、パトカーと消防車はセットになってやって来る。
(アメリカで車を運転する場合、「緊急車両」が来たら要注意だ。それらの車両が接近して来ると、彼等はピタリと止まる。見通しの良い直線路でも、「徐行」なんてものじゃない。その場でピタリと止まるのだ。「あわてて急ブレーキ」。僕にもそんな経験がある。文句を言っても始まらない。「郷に入っては、郷に従え」。日本人は「追突注意」だ)。
最後はヘリまで登場。明るい投光機で、あたりを照らしまくっている。
「スゲ~」
まるで映画のワン・シーン。
『ほんとにあるんだな』
僕は妙に関心・感激していた。
「銃声が鳴っても、ボ~ッと突っ立っているのは日本人だけ」なんて言われるけど、それも仕方ない。だって22口径程度の拳銃じゃ、バクチクの音と変わらない。「パン・パン・パン」と、かわいいものだ。僕はその時すでに、何度か“shooting range”を訪れ、実弾発射の経験があったからすぐわかったけど…でも、僕の連れたちは…
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