“toilet”

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“toilet”

『アメリカ人ってのは、ガサツだよな』  僕は思った。 『こんな物、使ってるなんてさ』  ゴワゴワのバス・タオル。 『こんなタワシみたいのじゃ、肌が強くなるだろうな…』  僕はブツブツ文句を言いながら、身体を拭く。でも… 「あれ?」  シャワー・カーテンを開けてみると、バス・タブのヘリには、きれいにたたんだままのバス・タオルが…掛けたまま。 「しまった!」  僕はバス・タブのヘリにタオルを載せて、ギリギリたっぷりにお湯を満たしたバス・タブに浸(つ)かっていたわけで、湯上りに、カーテンの内側から手だけを伸ばして、タオルを探った。 『落ちてるよ』  見当を誤っていた僕は、手に触れた物をタオルと思い込み、それが床に落ちてしまったものと勘違いして…なんと「足マット」で、身体を拭(ぬぐ)っていたのだ 『ゲロゲロ~。病気にでもなったら、どうしよう』  僕がその後、改めてお湯を汲(く)み直し、「いち」からやり直したのは言うまでもない。  カリフォルニアのとある街。そこのモーテルの一室での出来事だった。  まあこれは、ちょっとした勘違いだけど、海の外に出ると、文化や言葉の違いだけでなく、人間そのものの違いに気付く事もある。 (もっとも、人間の造りが違うから、文化にも違いが出てくるのだろうけど)。 『こいつら、いったい何なんだよ!』  僕は思った。はっきり言って、日本人の感覚からすれば尋常じゃない。  さっきから、ビールの中ジョッキほどのでかいグラスに、たっぷり氷を入れ、なみなみと注がれたティーをガブガブ飲んでいる。 (アメリカでは、「ロック・アイス」はタダ同然だ。ちょっとしたホテルならどこでも、無料で使いたい放題の「製氷機」がある)。  そのクセ、どいつもこいつもケロッとしてやがる。  これなら「デカイほうは、二日にいっぺんで済む」という話も、あながちウソではなさそうだ。僕はそんな話を、たぶん登山関係の話で聞いた事がある。 (それに彼等は、「大」と「小」を同時にいっぺんに出す事ができないそうだ。それを「見世物」に、小銭を稼いだという日本人の「貧乏旅行記」があるらしい)。
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