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『…今年の就職活動の情報です。新卒の内定率は81%と前年と2%の増加をして…。』
『…一人当たりの企業のエントリー数、例年と比べると目標は63社になります。』
『大手企業の内定者一人に対して応募総数は128名、説明会参加者は32名、一次面接に参加したのは14名という結果になっています。』
都内の夕方に俺は町の大きなTVを呆然と見ている。行きかう人の波。俺のことなど誰も気にはしていない。酒を飲んで大声で叫ぶ人、流行のブランドの前でキャーキャー声を上げる女子高生。中睦まじく、一目のはばからず抱き合うカップル。クリスマスのシーズンに向けての草食やポップが街中を彩る今。
しかし、俺は感じている。
そういった平和な人たちの横を、近くをうつむいて歩く人たちが居ることを。大きな店舗で声を上げて集客して働く人たちは笑顔で“苦しんでいる”。良く見ればアルバイト募集中の張り紙が無い店を見つけるほうが大変である。今や労働する人は減りつつある。
俺は先日安定を捨てた。
なぜ…こんな世界で俺は生きているのだろうか?俺が社会を知らないのか?
でも俺は思うんだ。もっといい会社があるんじゃないかって。良い働き方があるんじゃないかって。でもこんなに街中の求人はあるのに俺を雇う場所は無い。いや俺がやりたい仕事は無い。
この世界は腐っている。
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