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「ケイくんも……」
うなずいて、なんとか言葉をつむいだ。
───限界がくるのは、彼があの扉の向こうに消えてから。
それからだ。
「じゃあな」
短くて、けれども、せつないほど耳になじんだ言葉を残し、圭一は瑤子の部屋を出て行った。
それを見届け、瑤子はひざを抱え顔をそこへ伏せる。
(───いまでも、好き……)
声を殺して泣く。
まだ…彼はこの家のなかにいるから。
(だけど、この想いは、過去を引きずってる)
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