2/3
前へ
/3ページ
次へ
もたもたする彼女さん。 ぞろぞろ並ぶレジの列。 「う」 にこにこ笑う店員のお姉さん。 がさがさ財布を弄りながら、小さく呻く声が聞こえた。 「ごめん、ちょこっと足りない」 誕生日なんだからご馳走させろ、なんて強気で言っていた頼もしい彼女は何処へやら。 「最後のアイスが余計だったな。別腹が優秀過ぎるせいだ」 財布を出して、彼女の払った金額と、レジに表示された数字を確認する。 「……」 あと4円。 あの日から財布に突っ込んだままのカードを、無意識に指が撫でていた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加