26人が本棚に入れています
本棚に追加
天川 青大さん 2014/10/15 8:17
さて、引き続き、ラジオドラマの原作となった作品の表現力を検証します。
文章をチェックして、何が変なのか? どう直せば良いかを具体的に提示します。
学生諸君に、執筆の参考として欲しいからです。
4ページ目です。(作品では5頁)
この頁の前半は、良いとしましょう。
次に目立つのは彼女の~ 褐色の小麦。
◆《彼女の肌色は褐色の小麦》これがオカシイ。
《健康的な小麦色》などと使われますが、褐色の小麦などとは書きません。
褐色なのか? 小麦色なのか?
小麦が太陽に焼かれたら褐色になるからオカシクない。 褐色と書いてある。
だったら小麦などと書かない方が良い。
こうした場合は、
《特徴的なのは彼女の肌が褐色であることだ》
このように無駄なく的確に書くのです。
さらに、この屋敷の主人の趣向なのか~ 黒く光沢する手袋も身につけていた。
◆《黒く光沢する》が文法的にオカシイ。光沢は名詞なので、する、しないとは使えない。
【光沢】とは、なめらかな表面が光を受けて発する輝きを指す言葉。「光沢がある」このように使う。光沢するとは使わない。
《黒光りする手袋》これならオカシクない。
露出した~ そしてベストで強調された胸元が、大和に性○な情緒を感じさせる。
◆《性○な情緒を感じさせる》がオカシイ。
情緒とは、事に触れて起こる様々の微妙な感情。また、 その感情を起こさせる特殊な雰囲気のこと。「異国情緒あふれる」「下町情緒」「情緒不安定」などと使う。
似た言葉に情動がある。驚き・悲しみ・喜びなどの感情で、急激で一時的なもの。
しかし、ここは文脈から、
《露出した~ そしてベストで強調された~が、大和の情動を刺激する》 が妥当な表現となる。
但し、これは一例であって、他の言い方が幾らでもある。
《性○な情緒を感じさせる》などという珍妙な表現を避ければ良い。
更に言うなら、冒頭で、大和とメイドのやりとりが記されている。
この表現との整合性を考えるなら《性○な情緒を感じさせる》という記述が、そもそも矛盾する。
余計な事を書かなければ良いのだ。
書くのであれば、 《女は~と二の腕、そしてベストで胸元を強調しているが、大和は、そんなワザとらしさが好きではない》 と、クールに描くべき。
そうでないと、冒頭の記述と矛盾してしまう。
推敲していれば分かりそうなものです。
最初のコメントを投稿しよう!