検証

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天川 青大さん  2014/10/15 8:17 さて、引き続き、ラジオドラマの原作となった作品の表現力を検証します。 文章をチェックして、何が変なのか? どう直せば良いかを具体的に提示します。 学生諸君に、執筆の参考として欲しいからです。 4ページ目です。(作品では5頁) この頁の前半は、良いとしましょう。 次に目立つのは彼女の~ 褐色の小麦。 ◆《彼女の肌色は褐色の小麦》これがオカシイ。 《健康的な小麦色》などと使われますが、褐色の小麦などとは書きません。 褐色なのか? 小麦色なのか? 小麦が太陽に焼かれたら褐色になるからオカシクない。 褐色と書いてある。 だったら小麦などと書かない方が良い。 こうした場合は、 《特徴的なのは彼女の肌が褐色であることだ》 このように無駄なく的確に書くのです。 さらに、この屋敷の主人の趣向なのか~ 黒く光沢する手袋も身につけていた。 ◆《黒く光沢する》が文法的にオカシイ。光沢は名詞なので、する、しないとは使えない。 【光沢】とは、なめらかな表面が光を受けて発する輝きを指す言葉。「光沢がある」このように使う。光沢するとは使わない。 《黒光りする手袋》これならオカシクない。 露出した~ そしてベストで強調された胸元が、大和に性○な情緒を感じさせる。 ◆《性○な情緒を感じさせる》がオカシイ。 情緒とは、事に触れて起こる様々の微妙な感情。また、 その感情を起こさせる特殊な雰囲気のこと。「異国情緒あふれる」「下町情緒」「情緒不安定」などと使う。 似た言葉に情動がある。驚き・悲しみ・喜びなどの感情で、急激で一時的なもの。 しかし、ここは文脈から、 《露出した~ そしてベストで強調された~が、大和の情動を刺激する》 が妥当な表現となる。 但し、これは一例であって、他の言い方が幾らでもある。 《性○な情緒を感じさせる》などという珍妙な表現を避ければ良い。 更に言うなら、冒頭で、大和とメイドのやりとりが記されている。 この表現との整合性を考えるなら《性○な情緒を感じさせる》という記述が、そもそも矛盾する。 余計な事を書かなければ良いのだ。 書くのであれば、 《女は~と二の腕、そしてベストで胸元を強調しているが、大和は、そんなワザとらしさが好きではない》 と、クールに描くべき。 そうでないと、冒頭の記述と矛盾してしまう。 推敲していれば分かりそうなものです。
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