1 日常

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 結論から言うと、すでに始業式は始まっていた。下足箱の近くに張り出されたクラス表を確認し、四階にある教室へと足を向ける。  ヒタヒタ  階段をのんびりと登り、二階に到達、二階には職員室があり、体育館へと繋がる渡り廊下も存在する。そっちの方には目もくれず、次の段差へと足を乗せる。  ヒタヒタヒタ  三階には三年のクラスが存在した、その他には視聴覚室が設けられており、一年の時にはよくそこで昼寝をしていた。ごくまれに三年に混じって映画を見ていたりもしたのだが  ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ  目的地に向かうため新たな段差に足を乗せる。階段の途中に設けられた踊場の窓からは、全校生徒が集められているであろう体育館を見下ろせた。  そこから聞こえる校長の声を聞き流し、最後の段差をのぼりきる。そこから廊下にでる。左右に長い廊下、それに面して、二年と一年の教室が四つずつ。  めちゃくちゃなつくりだ。  ダンッダンッダンッ!  一番はしのえみ二年D組に入り、後ろのロッカーの上に鞄を放り投げる。無事着地したのを確認し、俺はもう一度階段へと向かった。  階段をまたもや登る。登り切ると見えるのは一枚の扉、そこを開け放つと、白いタイルが敷き詰められた屋上に出る。  不良とカップルのたまり場、いつからかそう呼ばれる屋上のベンチで昼寝をするのが俺のほぼ毎日と言っていい日々の日課だ。  体育館から聞こえる教師の声、真面目に校歌を歌っている生徒達の声をBGMに俺はゆっくりとまぶたで視界を封じる。視覚を消え、そのほかの感覚が鋭くなる。鳥のさえずり、這いずり、呻き、歌声、視線。  他の感覚で感じながら俺の脳は眠りにつく。ここには怨み、恨み、妬み、嫉妬、絶望、痛み、負の感情が渦巻いている。
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