レベル1

27/27
4109人が本棚に入れています
本棚に追加
/481ページ
確かにそうだ。 私が説明した恋愛シミュレーションゲームを忠実に再現してくれるのだとしたら、マルチエンディングは必須だ。 「わ、分かりました。私頑張りますっ!」 バッドエンドと聞いてゲームオタクの血が騒いだ。 グッとガッツポーズをして意気込むと、倉木さんが堪えるように口元に手をやって笑う。 「単純な部下は好きだ」 「……それ誉めてるんですか?」 「もちろん」 こうして私は、仕事の上司である倉木さんとリアル恋愛ゲームをすることになった。 私の好きなジャンルだから面白いだろう、と軽く考えてしまったことを後々激しく後悔するのだけど……。 この時の私は新しいゲームを手に入れた子供のように気持ちがはしゃいでしまっていて、その意味を全く理解していなかった……――。
/481ページ

最初のコメントを投稿しよう!