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下手に嘘をついて、例えば「映画を観ます」なんて言ってしまったら最後、何を観たのか、面白かったのか、何がオススメか、などと突っ込まれて即ゲームオーバーだ。 だから嘘はつかずに必要ないことは喋らない。 これが上手く世を渡って行くコツなのだ。 「じゃあ、この弁当は自分で作ってんだ?」 「あ、はい」 ほとんど食べ終わった弁当箱を指差してそう質問してきたのは、倉木(クラキ)さん。 シルバーフレームの眼鏡が似合い過ぎている私の上司。 ちなみに私の仕事は、大型ショッピングモールの事務局での運営管理事務。 イベントや販促の実施から、各テナントさんへの資料作成など、業務内容はかなり広い。 初めは覚えるのに必死だったけれど、1つの作業をずっとやっているより、あれこれと色々なことをしている方が私には合っているようで、仕事はお陰様で楽しかったりする。
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