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倉木さんとのドライブ事件から1ヶ月が経った。 私は、忘れた頃に出される倉木さんからの選択肢に何とか答えてきたけれど、特に親密度が変わったような感じはない。 そもそもゲームとは言え、現実世界で親密度を表すゲージなどは存在しないので、分かるはずもないのだが。 「山内さんお疲れ!なかなかいい動きしてたよ」 「ほんと?良かった……けど、暑い……」 事務局の向かいにある会議室で、スポッと頭を外してもらいモコモコの着ぐるみの手で顔を扇ぐ。 本日の私の仕事内容は、着ぐるみの中の人。 日曜日に行われるモールのキッズイベントで、盛り上げ役として着ぐるみが用意されたのだ。 「はい、どうぞ。飲めそう?」 「なんとか。ありがとう」 長机の上にペットボトルをストロー入りで置いてくれたのは、ヨガまゆこと菊地さん。 今日はやけに優しい。 それもそのはず。 「私こういうの苦手で」と言う彼女に代わり、本日2回あるイベントの両方に着ぐるみ出演することになったからだ。
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