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近くの喫茶店にでも待機していたのか、10分もしないうちに彼女は現れた。
小柄で大人しそうな彼女。
清純という言葉がぴったりな、良くも悪くも地味な女性だった。
ふーん。この人が敦士の新しい彼女なんだ。
一瞬で品定めをしてしまうなんて、我ながら性格悪いよね。なんて思いながらも、極上の笑みを浮かべる。
「初めまして。吉川美咲です」
そう言って、ニコリと微笑んだ。
余裕ぶっている自分が可笑しいけれど、取繕っていないと、何故だか余計なことを言ってしまいそうだった。
うん、きっと、あれと同じ。
可愛がっている弟に、突然彼女が出来たような心境なんだと思う。
彼女は、そんなわたしに視線を向けると「小日向マイカです」とぎこちなく微笑んだ。
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