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「敦士の部屋に落としてたんだ。どこで失くしたんだろうと思ってたの」
そう言って、安心させるようにニコリと微笑む。
だいたい、付き合ってすぐに部屋に連れ込むってどういうことよ?
で、早速浮気疑惑ってわけ?
……まったく。
貼り付けた笑顔が引き攣りそう。
「吉川さんと敦士さんは友達なんですよね?」
マイカちゃんは、確認するようにわたしの顔を覗き込んだ。
黒い瞳が不安げに揺れている。
きっと、わたしの口からはっきりと敦士は恋愛対象外だと聞きたいのだろう。
「友達と言うより、どちらかと言えば腐れ縁みたいなものかな。もうね、付き合いが長過ぎてよくわかなんないの」
ちょっと、曖昧過ぎた?
でも、喋りすぎるとボロが出そうだから、言い訳は最小限に留めておきたい。
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