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「なんだよ、じっと見て」
「んー別に」
小さく笑って、視線を手元のカクテルグラスに移すと
敦士は、ガラスの灰皿にタバコを押し付けて溜め息を吐いた。
「今夜、泊まっていくだろ?」
敦士のその言葉に苦笑する。
どうやらお見通しだったらしい。
連れて歩くには、申し分ないルックスと営業で培った巧みな話術。
それでいて、どこか人懐っこい雰囲気を持っている。
敦士に会って嫌悪感を抱く人はまずいないだろう。
そんなことを考えながら。
「もう一杯だけ、付き合って」
敦士の返事を待たずに、ギムレットのお代わりを頼んだ。
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