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「終わって直ぐにタバコに火を点ける男って、薄情なんだって」
意地悪を言うと、背中を向けたままで、敦士は小さく笑った。
むき出しの肩甲骨をなぞるように触ると、くすぐったいのか、「止めろよ」と身体を捩る。
吐き出された煙が、二人の距離を測るように漂っていた。
わたし達は恋人を解消しても、親友には戻れなかった。
けれど、人肌が恋しい時、こうして身体を重ねてしまう。
そして、その関係を何と呼ぶのか、お互いわかっている。
「ね、敦士」
「ん?」
「彼女、まだ作らないの?」
「……そういうお前は、どうして別れたんだよ?」
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