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   林さんは溜め息を吐いたあと、イラついた様子で声を荒げた。 それでも、感情を押し殺そうとしているのが伝わって、益々申し話ない気持ちになった。 温厚な林さんが声を荒げるなんて余程のことだ。 すみません。本当に、申し訳ないです。 受話器を握り締めて、頭を深く下げる。 「いつまでに納入すれば、間に合いますでしょうか?」 「……吉川さんに言ってもしょうがないけど。これ、森田さんの都合で何度も先方との約束を変更しているんだよね」 「はい。申し訳ありません」 「……ものは何処にあるの?」 「現時点で工場に」 「エア便でも使って、なんとか今日中に届けてよ」
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