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  「確認して、折り返し連絡いたします」 電話を切って溜め息を吐くと、派遣の川原さんが不安げに「どうかしたんですか?」と話し掛けてきた。 「……あ、うん。ちょっと。 川原さん、先週、森田課長から何か出荷指示受けてない?」 「ありました」 「その指示書、見せて」 川原さんが取り出した受注書の控えを見て、呆れて何も言えなくなってしまった。 これじゃ、試作品を出荷するわけないじゃない。 工場から直送の指示もなく、品番は現行の品番に(試作)と森田課長の汚い字で走り書きがしてあるだけ。 何の説明も無しにこれだけもらっても、わかるはずがない。 何年営業してるのよ? 頭を掻き毟りたい衝動を堪えて、今日中にブツを届ける方法を考える。
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