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「わたし、嬉しかったんです」
お湯飲みを持ったままで「なにが？」と聞き返す。
「歓迎会をしてもらえて」
「それは、別に珍しいことじゃないんじゃない？」
いたって普通のことだと思うけど。
そう言うと、川原さんは少し寂しそうに首を横に振った。
「前の職場では、歓迎会も無ければ、社員の人のミスを押し付けられて、挙句の果てに契約を途中で解除されたんです」
「え？なに、それ」
「ショックでした。派遣会社の営業さんはわたしの言い分を信用してくれて、直ぐにこちらの仕事を紹介してくれました。だから、頑張らなきゃと思っていたら、また試作品が……」
「あれは、川原さんのミスじゃないし」
派遣社員にとって、契約を切られるって死活問題だよね。
それも、そんな一方的な理由だったらトラウマになるかも。
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