それでも、また恋をする 第5話

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「何を考えてる？」

間近で田所さんの声がして驚いて、目を見開いた。

「た、田所さん?」

思ったよりも顔が近くて、慌てて身体を引く。

田所さんは、そんなわたしを見て小さく笑った。

「もうすぐ、なんじゃない？」

その言葉で車窓に目を向けると、最寄の駅の近くだった。

「あの、その先の信号を左に曲がってください。それから……」

マンションまでの道順を運転手さんに説明して、もう一度シートに凭れかかった。

もうすぐ、家に着く。

ホッとすると、気が抜けたのか、また気持ちが悪くなってしまった。