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「どうする?飲み直す?それとも」
「どこにも行きません」
意味深な言い方をした田所さんを無視して、駅に向かって歩き出した。
田所さんと話をする切っ掛けが欲しかったのに、いざ二人きりになると、こんな態度をとってしまうなんて。
子供っぽいな、わたし。
そう思うけれど……
「吉川さん」
「なんですか」
立ち止まらずに、歩いていく。
「もしかして、怒ってる?」
困ったような田所さんの声が、わたしを追いかけてくる。
その足音を聞いて安心しているくせに、意地っ張りなわたしは、振り返ることが出来ない。
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