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      居酒屋から徒歩10分、会社からでも同じく徒歩10分圏内の小奇麗なマンション。 築年数も新しそう。 そのマンションの602号室が田所さんの部屋だ。 手前のコンビニでビールとお茶、それからつまみを買った。 二人別々に提げているレジ袋が重たくて、どれだけ飲むつもりなのかと笑ってしまう。 「何も無いけど、どうぞ」 「……お邪魔します」 部屋に入るなり、息を呑んだ。 何も無いというより、段ボールだらけじゃない。 「あの、これって?」 「ああ」とバツが悪そうに田所さんが笑う。 「片付けるのが面倒で、引っ越した時のまま」 「何ヶ月経ってると思ってるんですか?」 「呆れた?」 「……少し幻滅しました」 「明日から、片付けるよ」
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